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佐々木 一郎; 花岡 宏史*; 山田 圭一*; 渡辺 茂樹; 須郷 由美; 大島 康宏; 石岡 典子
no journal, ,
生理活性ペプチドは、標的分子への親和性や特異性が高いことから分子標的治療薬として期待されているが、標的分子への特異的親和性及び生体内での安定性を兼ね備えたペプチドの有効な選抜方法がないことから、薬剤開発が思う様に進んでいない。そこで、標的分子に親和性を有するペプチドを感度よく選抜するため、生体内での安定性が期待できるD体アミノ酸由来ペプチドに放射性同位元素(RI)を標識したライブラリーを開発し、新規な医薬品候補化合物の選抜法の開発を計画した。本発表では、選抜法を評価するために、様々ながんに過剰発現するHER2(ヒト上皮成長因子受容体)を標的分子に選び、RI標識ペプチドライブラリーの作製及び細胞結合実験を実施した。配列中の2残基のアミノ酸を固定化し、4残基をランダム化したペプチドライブラリーを18種類のアミノ酸を用いて合成し、N末端にI標識が可能なD体チロシン(y)を導入したペプチドライブラリー(y(3-I)-A-A-X-X-X-X, A:固定, X:ランダム)を作製した。細胞結合実験の結果、yIIXXXX (固定位置にイソロイシンが二つ配列したライブラリー)がHER2過剰発現細胞株に高い親和性(約42%dose)を示した。一方、他のライブラリーは低い親和性(約1%dose)を示した。以上より、I標識ペプチドライブラリーを用いて、がん細胞に対して親和性を持つペプチドの選抜が可能であることが示唆された。
高橋 絢香*; 菅原 利史*; 島田 明彦; 箱田 照幸; 杉本 雅樹; 有谷 博文*; 吉川 正人
no journal, ,
通常は触媒としての活性を示さない金は、ナノ粒子化することによりCO酸化触媒として働くことが知られている。触媒の代表的な作製方法である含浸法は、浸漬、撹拌しながらの脱水、乾燥、高温焼成といった複数の工程から成り、また焼成温度、雰囲気を制御する必要がある煩雑な製法である。金ナノ粒子の膜を単独で作製することが出来れば、触媒を基材に転写するのみで触媒を作製することが可能となる。本研究では、塩化金酸水溶液に電子線照射を行う放射線還元法により、金のナノ粒子の作製を試みた。0.5-20%のエタノールを含む1mmol/Lの塩化金酸水溶液の表面に加速電圧55keVの電子線を照射したところ、溶液表面に赤い膜状の浮遊物(膜)が形成された。この膜をコロジオンメッシュに付着させることでTEM観察を、またグラッシーカーボンに付着させることでXPS測定を行った。TEM観察の結果、粒径約5nmの金ナノ粒子を観察することができた。XPS測定結果を解析したところ、膜に含まれる金のほとんどは金属状の金として存在することが分かった。以上のことから塩化金酸水溶液を出発物質とした放射線還元法による金のナノ粒子膜の作製が可能であることが明らかとなった。
木全 哲也*; 加藤 翔*; 八巻 徹也; 山本 春也; 箱田 照幸; 小林 知洋*; 鈴木 晶大*; 寺井 隆幸*
no journal, ,
イオン注入法で作製したグラッシーカーボン(GC)担持Ptナノ微粒子において、注入と同時にGC基板に導入された格子欠陥が酸素還元触媒としての活性と耐久性を向上させる。そこで本研究では、Arイオン照射によって予め欠陥を導入したGC基板にPtナノ微粒子をスパッタ蒸着し、触媒特性と電子構造の観点から基板照射がPtナノ微粒子に及ぼす影響を調べた。その結果、GC基板へのArイオン照射は、その上に蒸着したPtナノ微粒子の酸素還元活性を向上させるとともに、微粒子との界面におけるPt-C結合の形成を促進することが分かった。
深澤 秀行*; 長谷川 伸; 前川 康成
no journal, ,
芳香族系高分子であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)からなるグラフト型電解質膜が優れたイオン伝導性や機械特性を示すことを報告してきた。一方、高分子膜に無機ナノ粒子を複合化することでその物性や機能性が向上することが知られている。そこで、PEEKにシリカなどの無機ナノ粒子を複合化した膜(PEEK複合膜)を基材とし、グラフト鎖にイオン伝導性基に変換可能なスチレンスルホン酸誘導体を放射線グラフト重合により導入することで、複合化PEEK電解質膜を合成し、そのイオン伝導性や機械特性などに及ぼす無機ナノ粒子の効果を評価した。その結果、シリカナノ粒子を3%添加した複合化電解質膜は、高い出力特性が要求される低加湿条件(80C, 30%RH)で無添加のPEEK膜と比較して1.2倍のプロトン伝導度を示した。この高いプロトン伝導度はシリカナノ粒子による含水率(保水性)の向上に起因することを明らかにした。